英国は2020年1月31日(日本時間の2020年2月1日午前)、EUから離脱します。
英国のEUからの離脱は「ブレクジット」とも呼ばれていますね。
(英国ブリテンと退出エグジットを合わせた造語)
新型コロナウイルスのニュースにまぎれてしまって、あまり話題になっていませんが、そもそもイギリスのEU離脱問題ってなんなのでしょう?
なぜ離脱することになったのか、その理由をできるだけ簡単にわかりやすく説明しました。
併せて、為替や株価の動向についても調査しました。
英国のEU離脱とは?簡単に説明
イギリスのEU離脱問題の最大の要因は「他国からイギリスへの人の流入」です。
イギリスには以前から多くの移民が流入していたため、問題となっていました。
2000年代、EU(欧州連合)に多くの東ヨーロッパ諸国が加盟しました。
それによって移民の流入に拍車がかかったのです。
2014年から2015年の間に、イギリスの人口はおよそ50万人増加しています。
なんと、その2/3が移民といわれています。
東ヨーロッパの国々からの移民が増えた理由は、おおきく2つあります。
ひとつは、イギリスのほうが給料が高いこと。
もうひとつは、福祉・医療や公共サービスが充実していること、です。
このような理由から、イギリスにさらに多くの人が流入することとなりました。
イギリス国民の職は奪われ、治安悪化への不安と不満も膨れ上がりました。
そこで、2016年。イギリスではEUに加盟し続けるかどうかの国民投票が行われました。
結果は「EU離脱派」の勝利。
およそ52%が離脱賛成に投票。ほんのわずかな差でEU離脱が支持されました。
実はこの投票結果。年齢別でみると興味深いものとなっています。
若い世代、具体的には18歳~44歳までの年齢層でみると、「残留」を支持していたようです。
これはあくまでも私見ですが、上記の理由の裏に何か別のもの(心情的なもの?)が隠れているような気がしてなりません。
英国EU離脱 簡単に主な経緯をおさらい
一覧にまとめてみました。
詳しい内容は下記のサイトがとても参考になります。
年月 | 内容 |
2016年6月 |
イギリスの国民投票で離脱派が支持。 |
2016年7月 |
テリーザ・メイ首相が就任 |
2017年3月 |
イギリスがEUに離脱を正式に通告 |
2018年11月 |
離脱条件の協定の草案に、イギリス政府とEU首脳会議が合意 |
2019年3月 |
英議会がEUと合意した離脱協定案につき、英下院の承認が得られず。 |
2019年4月 |
臨時EU首脳会議にて協議。 |
2019年7月 |
ボリス・ジョンソン氏が首相就任 |
2019年10月 |
英政府が離脱日の延期をEUに要請。 |
2020年1月31日 |
イギリス、EUから離脱 |
英国 EU離脱 日本への影響、株価への影響は?
産業界への影響はすでに出ています。
イギリスがEUから離脱することによって、まずはEUの域内での取引に影響がでます。
つまり、イギリスのものをEU内の他の国に輸出する際、これまでは関税がかからなかったのが、離脱によって関税がかかってしまうことになります。
イギリスに製造の拠点を置いている、日本の製造業に影響がでていますね。
JETRO(日本貿易振興機構)が2019年9月から10月にかけて日系企業979社を対象に離脱の影響を調査しました(842社が回答)。
その調査によると、イギリスに拠点がある製造業65社のうち70.8%が「これまでの事業にマイナスの影響が出ている」と答えたとのこと。
この調査ではイギリスのEU離脱に備えて拠点を移したかどうかも調査しています。
その結果は下記のとおり。
総括拠点
全部移した企業が3社(いずれも移転先はドイツ)
一部移した企業が10社(ドイツ5社、オランダ3社、ルクセンブルク2社)販売拠点
全部移した企業が3社(ドイツ、チェコ、ポーランド)
一部移した企業が4社(ドイツ2社、イタリア、オランダ)生産拠点
NHK NEWS WEBより
全部移した企業が2社(ポーランド、日本)
一部移した企業が1社(ハンガリー)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/brexit/knowledges/knowledges_06.html
拠点を移す際の費用負担など、大きく影響を受けた会社もあったのではないでしょうか。
英国 EU離脱 為替や株価への影響は?
為替や株価への影響はどうでしょうか?
関税の影響で、イギリス経済が悪化し、イギリスの通貨であるポンドの下落は予想されます。
円高がすすみ、日経平均株価も影響を受けるとの見方もありました。
しかし、EU離脱についてはかなり前から何度も延長されてきました。
すでに、対応済みの部分も多いのではないかと思われます。
ネットの声を拾ってみました。
これから正義の話をしようさん 2020/1/2821:13:42
市場は既に織り込み済みですので今更離脱しても株価に影響は
ありません。EU市場向け商業拠点・工場を英語圏のイギリスにおいていた
日本・アメリカ・中国の企業のEU諸国への移転計画的も進行中
で影響ありません。イギリス以外への影響は既になくなっています。
Yahoo!知恵袋 より
しかし、国内はスコットランドの独立・北アイルランドの動向
等多くの問題が湧き起る可能性があります。
tkuさん 2020/1/2622:52:13
日本の在イギリス企業は、ほとんどイギリスを出てます。一時的には株価に影響するでしょうが、長期的には問題なくできるでしょう。
でも、北アイルランド問題は影を曳くでしょう。
Yahoo!知恵袋 より
英国 EU離脱 まとめ
イギリスのEU離脱について、わかりやすく説明してみました。
2016年の選挙では若い世代は残留を支持していました。
若い世代の人たちは、移民流入によるデメリットより、国境を越えたグローバルな交流・発展を望んでいるのかもしれません。
世界のグローバル化は進んでいます。
日本に移民が押し寄せ、雇用減少、公共サービスの悪化などの弊害が起こったら・・・
もしそういう立場になったら、私たちはどう対応するのでしょうか。
イギリスのEU離脱は、そんなことを考えるきっかけになりました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。